미시마 유키오(三島由紀夫)「 도적(盜賊)」 론 : 처녀장편소설이 지니는 의미

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三島由紀夫の處女長編小說である 『盜賊』は, 出世作『假面の告白』に比べて世間の注目を集めることも少なく, 硏究者たちからも失敗作として過小評價されて來たが, 硏究資料としては, 三島文學を論ずる際に缺かせなぃ, 極めて大事な作品である.
執筆當時, 弱冠二十二歲だった三島は, 後世に殘る大長編を書きたいという野心を抱いて, ラディゲの『ドルジェル伯の舞踏會』に匹敵する不朽の名作を夢見ながら『盜賊』の制作に取り掛かった. しかし, 自他共に認めるごとく, その野心は無慘な結果に終わったが, 當時の三島が『盜賊』に託した夢には計り知れないものがあり, 後に公開された「『盜賊』ノ-ト」ゃ「あとがき」の類いを見ても, その一端を伺うことが出來る. しかも, 『盜賊』の完結からわずか一年も經たないうちに, 三島は『假面の告白』で文壇の寵兒になり, その後も花形作家として『純白の夜』, 『愛の渴き』, 『靑の時代』, 『禁色』, 『夏子の冒驗』, 『幸福號出帆』, 『潮騷』, 『沈める瀧』などの話題作を矢繼ぎ早に發表し, 『金閣寺』で昭和文檀に確固たる地位を築くまで, 『盜賊』から始まる七年間の道程を見ると, その旺盛な活躍ぶりには誰しも驚かざるを得ないだろう.
從って本稿では, 三島文學の變遷を천る手始めとして, 三島が初めて挑んだ長編小說で何を試み, その失敗によって何を學んだのか, そしてこの作品を境に三島文學が如何なる變化を見せるのか等等, 處女長編小說としての『盜賊』の意味を考察してみることにした.
まず, 『盜賊』のよって現れた三島文學の最も大きな變化は, 堀辰雄との決別であろう. 習作期から三島は堀の影響を受けて王朝物を相次いで發表し, 「四つの處女作」の一つである「煙草」も, 三島本人が認めるごとく堀の亞流であった. 三島は『盜賊』と關連してラディゲの影響を多く語っているが, むしろ堀の影響が露骨な作品であり, ラディゲを知ったのも堀を通してであった.
しかし『盜賊』の制作過程で味わった挫折は, 堀の亞流としてのは職業作家として成功できないと痛感させ, 三島は反堀辰雄に急旋回して新しい活路を模索することになる.
そして三島は, 兄妹愛を中心にした近親相姦的な家族關係を作品の素材もしくはテ-マとして積極的に取り入れたのである. これは『假面の告白』によって始まる同性愛的領向と共に, 三島文學を特徵づける根幹をなすようになる.
そればかりでなく, 親たちの戀愛を「裏のテ-マ」として, 靑年たちの戀愛を「表のテ-マ」として設定し, 重層的な作品構造を作り出したのも, 本多秋五が酷評したとおり『盜賊』で成功はしなかったが, それも結局『金閣寺』では見事な成功を收めている.
『盜賊』から始まる三島文學のこのような變化は, 三島本人が語っているごとく, 女性的なものから男性的なものへの變遷であり, また, この變遷は男女兩性の對立という二元論として三島文學に定着するようになる.
『盜賊』以後の數年間, 卽ち二十代後半が, 三島文學において絶頂期であったと言われるのは, 單に三島が早熟な才の持ち主だったからばかリでなく, 『盜賊』の制作過程でそれほど多くのことを學び, 悟ったからである. 從って處女小說としての『盜賊』が三島文學の中で持つ意味は, 今後も多角的に檢討されるべきであろう.